年齢を重ねるにつれて基礎代謝は穏やかに低下し、特にウエスト周りに変化を感じやすくなります。しかし、しなやかな身体を維持するためには、過度な食事制限やハードな運動は向いていないかもしれません。
日々の暮らしのなかにそっと取り入れられる「お腹をすっきり引き締めるコツ」と、寝たまま・座ったままでもできる簡単なトレーニング5選、さらに動作のついでにできる「ながら筋トレ」の工夫をご紹介します。
身体の内側からキレイになれる習慣を始めてみませんか。
お腹が痩せるために必要な4つのこと
ウエスト周りの脂肪を減らすには、食事管理と運動のバランスが重要です。
特に次の4つのポイントを意識することで、健康的にウエストサイズをダウンさせる近道になります。
カロリーコントロール
まず基本となるのは、摂取カロリーの管理です。脂肪を減らすには消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る状態、すなわち適度なカロリー不足を作る必要があります。
極端な食事制限ではなく、日々の食事内容を少し工夫しましょう。例えば、白米を玄米やもち麦入りご飯に変えると同じ量でもカロリーを抑えられ、さらに食物繊維の増加で満腹感も得られやすくなります。
また、揚げ物よりも脂身の少ない肉や魚、大豆製品を選ぶ、間食を果物やナッツに置き換えるなど、「食べない」のではなく「食べるものを変える」意識が継続しやすいポイントです。
有酸素運動
脂肪燃焼には有酸素運動が欠かせません。ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングや水泳、ヨガなど酸素を使う運動は、全身の脂肪を効率よく燃焼してくれます。
特に内臓脂肪は皮下脂肪に比べてつきやすいが落としやすい性質があり、有酸素運動で減らしやすいとされています1。週に150分程度の少し汗ばむ程度の有酸素運動(例えば1日30分を週5日など)を目標に、まずはできる範囲で始めましょう2。
筋トレ
筋力トレーニングは基礎代謝を高め、太りにくく痩せやすい身体を作ります。特に大きな筋肉を鍛えると消費エネルギーが増えるため、お腹の脂肪を落とす近道になります。
下半身には太ももの大腿四頭筋やお尻の大殿筋など大きな筋肉が集まっており、これらを動かすことで効率よくエネルギーを消費できます。筋トレというと腹筋運動を思い浮かべるかもしれませんが、スクワットなど下半身の筋トレもお腹痩せに有効なのはこのためです。
さらに、腹筋そのものを鍛えることでお腹を内側から引き締める効果があります。お腹に筋肉がつくと内臓を支える力が増し、腹圧が高まり姿勢が改善することで、ぽっこりお腹が改善しやすくなります。
実際、腹部のインナーマッスル(腹横筋など)を鍛えるドローイン運動(お腹を凹ませたり膨らませたりする動きで、インナーマッスルを鍛える体幹トレーニング)により、お腹周りの筋厚が増加し体幹の安定性が向上した3との研究報告もあります。
筋トレは週に2〜3回、無理のない範囲で行い、徐々に強度や回数を増やしていきましょう。
ストレッチ
ストレッチは直接脂肪燃焼には関与しませんが、お腹痩せをサポートする重要な役割があります。筋肉をほぐし関節の可動域を広げることで血行が促進され、運動効果が高まりやすくなります。
また、身体をゆっくり伸ばすようなストレッチをすると副交感神経の働きが強まり、リラクセーション効果が高まります4。身体がリラックスした状態になると、ストレスホルモンの分泌を抑える効果も期待できます。
ストレスによる過食やホルモンバランスの乱れは内臓脂肪の蓄積につながるため、ストレッチによるリラックスは意外なお腹痩せ対策と言えるでしょう。
楽々♩無理なく継続できるお腹筋トレ5選
「筋トレ=きつい腹筋運動」というイメージがあるかもしれませんが、寝たままや座ったままできる簡単なエクササイズもたくさんあります。
ここからは初心者でも取り組みやすいお腹周りの筋トレ5つご紹介します。いずれも身体への負担が少ないメニューなので、ぜひ今日からチャレンジしてみてください。
足パカエクササイズ(レッグオープン)
仰向けに寝て脚を開閉するだけですが、お腹と脚に効果的なエクササイズです。
- ・仰向けに寝転がり、両脚をまっすぐ天井に向けて上げます。
・脚を軽く伸ばしたままゆっくりと左右に大きくハの字に広げます。できるだけ限界まで広げましょう。
・今度は息を吐きながら脚を閉じます。
・この動きを反動をつけずに繰り返しましょう。最初は15〜20回を目安に無理のない範囲で行ってください。
プランク
プランクは体幹全体を鍛える代表的な筋トレです。お腹だけでなく背中や臀部、太ももといった全身の筋肉を使います。
・うつ伏せになり、肘を肩の真下について上半身を支えます。
・つま先を床につけて足と肘で身体を持ち上げ、頭からかかとまで一直線の姿勢をキープしましょう。
・呼吸は止めず、30秒程度同じ姿勢を維持しましょう。最初は30秒程度からはじめ、徐々に時間を長くすると効果的です。
立ち腹筋
立ったままできる腹筋運動としておすすめなのが、その場での膝上げ運動です。
- ・肩幅程度に足を開いてまっすぐ立ち、片膝をゆっくりと胸の方へ引き上げます。
・このときお腹に力を入れ、背中が丸まらないよう姿勢をキープしましょう。
・息を吐きながら膝を上げ、吸いながら足を下ろします。
・左右交互に繰り返します。慣れてきたら膝と反対側の肘を近づけるように上体をひねってみてもよいでしょう。
ドローイン
ドローインとはお腹をへこませた状態で呼吸を続けるシンプルなトレーニングで、腹式呼吸の一種で、腹筋の中でも特に深層にある腹横筋を鍛えることができます。
- ・まず椅子に浅めに座って背筋を伸ばし、息をゆっくり吐きながらお腹をへこませていきます。
・お腹をへこませた状態を保ったまま、浅い呼吸を繰り返しながら30秒ほどキープしましょう。最初は10秒程度から始め、徐々に延ばしていって、最終的には60秒ほどへこませたまま呼吸できると理想的です。
ヒップリフト
ヒップリフトはお尻や太もも裏、そして体幹を鍛えるエクササイズです。
- ・まず、仰向けに寝て膝を立て、足を腰幅に開きます。
・両腕は身体の横に楽に置き、手の平を床につけましょう。
・その姿勢からお尻をゆっくり持ち上げ、肩から膝まで一直線になるところで1〜2秒キープします。
・お尻を締めながら持ち上げ、腰が反りすぎないよう注意してください。
・息を吐きながらお尻を上げ、吸いながらゆっくり下ろす動作を10回1セットほど繰り返します。 - これらの運動を無理のない範囲で、継続的に行うと体の変化を感じられることでしょう。
お腹が痩せる日常生活に取り入れたい工夫3選
忙しい日々の中でも、「ながら筋トレ」や「隙間時間トレーニング」なら、ちょっとした運動を積み重ねることができます。
日常生活や家事の動作に一工夫加えて、お腹周りの筋肉を刺激するコツを3つご紹介します。
これらは特別な時間を取らなくてもできるので、ぜひ習慣にしてみましょう。
買い物袋の持ち方を工夫
日々の買い物で重い荷物を持ち運ぶときこそ、筋トレのチャンスです。
買い物袋は左右両手に均等に持ち、背筋を伸ばして歩きましょう。左右の重量バランスを取ることで自然と腹筋や背筋に力が入り、姿勢維持のための体幹トレーニングになります。
普段より少し遠くのスーパーまで歩いてみる、お米やペットボトル飲料など適度に重い物を敢えて手提げで持つようにするのも良いでしょう。
ただし無理な重量は避け、腰を痛めないよう注意してください。
掃除機をかけながらエクササイズ
掃除の時間も下半身とお腹を鍛える有効活用ができます。おすすめは掃除機をかけながらランジ(前突き踏み込み)です。
片手で掃除機のハンドルを持ち、床のノズルを前に押し出すタイミングで反対側の脚を大きく一歩前に踏み出して腰を落とします。
次にノズルを引き寄せながら踏み出した足を元に戻しましょう。これを部屋の隅々を掃除しながら左右交互に繰り返します。
椅子に座ったまま腹筋エクササイズ
デスクワークやテレビ鑑賞の時間にも、こっそりお腹を鍛えるチャンスがあります。まず簡単なのは座ったままでの膝上げ運動です。
椅子に浅めに腰掛けて背筋を伸ばし、両手で椅子の座面を軽くつかんで身体を安定させます。
その状態で片膝をゆっくり引き上げ、できれば太ももが床と平行になるくらいまで持ち上げます。お腹に力を入れて膝を上げたら、ゆっくり元に戻し、反対側も同様に行います。これを交互に繰り返しましょう。
下腹部の筋肉(腸腰筋や下部腹筋群)に刺激が入り、ぽっこりお腹に効いてきます。
筋トレだけじゃない!ウエスト周りを細くする方法
ウエストラインをスッキリさせるためには筋トレや有酸素運動以外にも、生活習慣の改善が重要です。以下のようなポイントにも気を配ってみましょう。
・姿勢を正す
悪い姿勢はお腹を余計にぽっこり見せてしまいます。日頃から骨盤を立て、背筋を伸ばすよう意識しましょう。
・十分な睡眠
睡眠不足は肥満の大敵です。睡眠不足や睡眠の質の低下が肥満のリスクを高めることが分かっています5。寝不足になると食欲を増進させるホルモンが増え、つい夜間に間食してしまう原因にもなります。
毎日なるべく同じ時間に就寝・起床し、7時間前後の睡眠を目指してください。
・生活リズムとストレス管理
規則正しい生活も大切です。食事は決まった時間にゆっくりよく噛んでとり、寝る前の暴飲暴食は避けましょう。
お腹が痩せる筋トレ中はタンパク質を摂取しよう
筋トレの効果を高め健康的に痩せるためには、バランスのよい食事を摂るように心がけてください。
特に、タンパク質の十分な摂取を意識しましょう。筋肉の材料となるタンパク質が不足すると、せっかく筋トレをしてもうまく筋肉がつかず基礎代謝も上がりません。
具体的には、高タンパク低脂肪な食品を食事に取り入れてください。鶏胸肉やささみ、魚、大豆製品(豆腐・納豆など)、卵、乳製品などはタンパク源として優秀です。
これらを毎食バランスよく摂ることで筋肉の合成が促され、トレーニングによる引き締め効果が出やすくなります。
まとめ
過度な方法ではなく、無理なく続けられる筋トレと生活習慣の見直しが、お腹痩せの最も大切なポイントです。
カロリーコントロールと適度な有酸素運動で脂肪を減らしながら、筋トレで腹筋や体幹を意識的に鍛えて、内側から美しいラインを作りましょう。
さらに、ストレッチや正しい姿勢を心がけ、質の高い睡眠と十分な休養を取ることで、健やかなウエストラインを手に入れることができます。
まずは、無理なく始められることからひとつずつ取り入れ、毎日の習慣にしてみましょう。



