「時間ができたので地域や人々の役に立つことがしたい」、「自分の親が生きがいを持って取り組めるボランティアはあるかな？」
時間を有効活用したい、生きがいを感じられる活動をしたい方に、ボランティア活動は選択肢のひとつです。
今回の記事では、高齢者ボランティアの種類やメリット、探し方、さらに楽しく続ける方法について、詳しく解説します。
高齢者ボランティアの種類
ボランティア活動というと、主に若い方が取り組まれているという印象を持つ人もいるかもしれません。
実は、ボランティア活動に参加しているのは60代の方がもっとも多く、70代や50代もそれに続いています1。
高齢者の方が活躍しているボランティアとしては、以下のようなものがあります。
イベント協力
地域で開催されるマルシェの運営のお手伝いや、地域のお祭りなど、さまざまなイベント活動への協力といったボランティア活動があります。
多くの人たちとワイワイ楽しむのが好きだったり、人と人との交流が得意だったりする方にとっては、ご自身も楽しめる活動となるでしょう。
講師
講師ボランティアには、伝統行事や戦争体験など、当事者ならではの経験を後世に伝えるといった、とても大切な役割があります。
人生経験の豊かな高齢者の方が、昔の暮らしや地域の歴史を伝える語り部として活躍する場面もあります。
「こんな時代もあったのよ」と語るその声が、若い世代の心に残ることもあるでしょう。
子育てや介護のサポート
地域の子育て支援や介護サポートも大切なボランティア活動となります。
子育て支援ボランティアでは、今まで子育てを経験してきた高齢者の方の知識などが役立ちます。
核家族化によって、仕事の両立に奮闘する子育て世帯が増えている今、経験豊富な高齢者の方のサポートが救いの手になるかもしれません。
また、介護のサポートも、特に人手が不足しがちな介護施設などでは重宝されるボランティア活動となります。
学校や学童クラブでの学習支援
地域の小学生や中学生に対して、学習支援を行う活動もあります。
勉強を実際に教える他にも、学童クラブに参加しているこども達の見守りなどの仕事もあります。子どもが好きな方や、子どもと遊ぶことが好きな方が向いているでしょう。
また、もともと幼稚園や保育園、学校などで人に何かを教える仕事に就いていた方は、その経験を生かすこともできますね。
被災地支援
災害時のボランティア活動も、活動の分野として多くを占めるものです。特に60代以上の年齢層の方の参加率が高いこともわかっています1。
「困っている人の役に立ちたい」という思いがある方には、ピッタリのボランティア活動といえます。
観光ガイド
地域を訪れた旅行者の方に対して、観光ガイドをするボランティアもあります。
観光名所はもちろん、あまり知られていない穴場スポットを紹介するといった活動もあります。地域に長年住んでいる高齢者の方だからこそできる、「通」な楽しみ方も伝えられるでしょう。
高齢者がボランティアに参加するメリット
高齢者がボランティア活動に参加することには、たくさんのメリットがあります。
人間関係が広がる
ボランティア活動で得られることとして、「多くの仲間ができる」といった声が挙げられています1。
ボランティア活動をする中で、地域社会とのつながりを作ることができ、これまで家族や仕事上での付き合いしかなかった方も、人間関係の広がりを実感できるでしょう。
心身の健康を維持しやすくなる
高齢者のボランティア活動は、活動をする高齢者自身の心と身体の両方の健康を高める効果が示されています2。
ボランティア活動を通じてクライアントさんから感謝されたり、周囲から尊敬されることによって自尊心が高められるということで、精神的に良い効果がもたらされると考えられています2。
また、ボランティア活動に参加している方は、そうでない方に比べて、体も心も元気でいられるという研究結果もあります。
実際に、寿命が伸びたり、身体機能の低下が抑えられたりするといった研究報告もあります6。
人のための活動が自分の健康のためにも役立っているようです2。
プライベートが充実する
ボランティア活動に参加することで、自分の人格形成や成長にプラスになったり、あるいは新しい知識や技術を習得することができたりするというメリットもあります。
これまで特に趣味などがなかったものの、ボランティアを始めることで自分自身の成長を実感できるようになり、プライベートを充実させることもできるでしょう。
高齢者がボランティアに参加するデメリット
ボランティア活動を行う中で、見えてくる課題もあります。
例えば、以下のようなものが挙げられます1。
体調を崩す可能性
高齢者の方は、高血圧や糖尿病などの持病を持っていることも少なくありません。
そうした方がボランティア活動で無理をしてしまうと、体調を崩すことも懸念されます。
楽しくボランティア活動を続けるため、自分の体力に合わせた活動を心がけましょう。
ボランティア活動をするための費用負担
全国ボランティア活動者実態調査報告書（2010年調査）によると、約4割の方が活動費用は1,000円未満と回答し、ほとんどかかっていないことがわかります。
その一方で、月に50時間以上と精力的にボランティア活動をしている場合には、毎月10,000円以上の支出がある方が半数を占めていました1。
ボランティア活動に積極的に取り組むにつれ、金銭面での自己負担が大きくなってしまうこともある点には注意が必要です。
高齢者ボランティアの探し方
ここでは、高齢者の方のボランティアの探し方にはどのような方法があるのか、見ていきましょう。
自治体の広報誌や公式サイトで探す
お住まいの自治体の広報誌や、ボランティア活動を募っている公式サイトでボランティアのお仕事を探すことができます3。
「シニア」「ボランティア」そして、ご自身が参加したいタイプの活動などで検索するとよいでしょう。
インターネット公募を探す
インターネットの検索などで、直接「高齢者 ボランティア 募集」といったように検索をかけてみるとよいでしょう。
地域の掲示板や口コミで探す
ボランティアプラットフォームから、参加したいボランティア活動を探すこともできます。
例えば、県のボランティア活動のマッチングポータルサイトもあります。
高齢者がボランティアに参加するときの注意点
楽しく活動をするために、高齢者がボランティアに参加するときには以下のような点に注意しましょう。
ご自身の体力に見合った活動量にする
健康上の理由や体力的な限界を感じるといった点から、ボランティア活動を中断したり辞めたいと思ったりする方もいます1。
経済的な負担がかかりすぎないようにする
経済的にどのくらいの余裕があるかによって、服装などの費用に持ち出せる金額も変わります。
あらかじめ、ボランティア活動の内容をしっかりと吟味して、自分の金銭的な負担が多くなるようであれば一度考え直すことも大切です。
ボランティア活動を楽しく続けるためには、以下の2点を心に留めておくようにしましょう。
- ・今後も続けていこうと思えるような気持ちになれる活動を選ぶこと
・無理なく続けられるように、ボランティアの回数などを調整しておくこと4
体力的にも経済的にも、そして精神的にも無理のない範囲で活動していきましょう。
こうしたポイントを抑えておくことで、楽しくボランティア活動に参加することができるはずです。
まとめ
今回の記事では、高齢者の方のボランティア活動について詳しく解説しました。
ボランティア活動は、誰かの役に立てるだけでなく、自分自身の生きがいや健康にもつながる大切な時間です。
人生100年時代と言われる現在、「もう年だから」と思っていても、実際に参加してみたら、「こんなに楽しいとは思わなかった」と感じることができるかもしれません。
大きなことをしようとしなくてもかまいません。まずは週に1回、1時間でも、できることから始めてみませんか？小さな一歩が、あなたの毎日を少し明るく照らしてくれるかもしれません。
