みなさんは、フレイルという言葉を聞いたことがありますか?
フレイルとは、加齢による身体的な衰えのみならず、認知機能やうつなどの精神・心理的な問題、および独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念です。将来的に要介護となるリスクが高まった状態を意味します1。
近年では、フレイルの前段階であるプレフレイルの段階から、将来的な要介護状態の発生リスクが高まることが報告されています2。
そのため、プレフレイルの状態であるかを早期に認識し、適切な対策を始めることが長く生活機能の維持・向上のために大切と考えられます1。
簡単チェックで気づく、プレフレイルのサイン!
ご自身やご家族がプレフレイルであるかどうかを確認するために、参考となるチェックリストがあります。
ここでは「簡易フレイル・インデックス」と「基本チェックリスト」の2つのチェックリストを紹介します2。
簡易フレイル・インデックス
簡易フレイル・インデックスは、5つの質問に対して「はい」か「いいえ」で回答する質問票です。短時間で実施可能なため、病院での待ち時間、および健康教室などで広く活用されています3。
下記の5つの質問に「はい」または「いいえ」で回答して点数化します。点数の合計が3点以上の場合をフレイル、1または2点をプレフレイル、0点を健常と判定します。
簡易フレイル・インデックス
項目 |
質問内容 |
回答 |
|
---|---|---|---|
体重減少 |
6カ月間で2〜3kgの体重減少がありましたか? |
はい:1点 |
いいえ:0点 |
歩行速度 |
以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか? |
はい:1点 |
いいえ:0点 |
運動 |
ウォーキング等の運動を週1回以上していますか? |
はい:0点 |
いいえ:1点 |
記憶 |
5分前のことを思い出せますか? |
はい:0点 |
いいえ:1点 |
疲労感 |
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする |
はい:1点 |
いいえ:0点 |
(文献3より引用)
基本チェックリスト
基本チェックリストは、近い将来、介護が必要となる可能性の高い高齢者をスクリーニングするために厚生労働省により作成されました4。
具体的には、高齢期における生活機能(日常生活動作、運動機能、栄養状態、口腔機能、閉じこもり、認知機能、うつ症状)を25項目の質問票で簡便にチェックするものです。
「基本チェックリスト」の総合点は、他のフレイル評価法と有意な関連を示すとされており、国内外の多くの先行研究においても妥当性のある指標として報告されています4, 5。
以下の記事で、基本チェックリストを実施することができますので、ぜひ試してみてください。
※実施にはTHEO ONEの会員登録(無料)が必要です。
早期から要介護リスクを低減するための対策は?
プレプレイルの段階から、フレイル予防の対策を始めることが、早期からの要介護リスクを低減するための対策となります。身体的・精神心理的・社会的フレイルそれぞれに焦点をあてた対策を行いましょう。
栄養バランスの良い食事を摂る、定期的に運動する、社会活動へ参加するといった活動的な生活習慣の獲得が、フレイルの予防の3つの柱とされています4。
そのほか、要介護状態の発生の原因となる疾患を適切にコントロールすることや、日頃から口内の健康を維持し、感染症を予防することもフレイル予防の対策となります。
詳しくは以下の記事に掲載しています。
まとめ|プレフレイルをご存知ですか?要介護状態のリスクを未然に防ぎましょう!【チェックリストを紹介】
プレフレイルは、虚弱状態をあらわすフレイルの前段階を意味します。フレイルと同じく、身体的・精神心理的・社会的要因があわさり、徐々に身体機能が衰えていく包括的な状態です。
ちょっとした体の調子や記憶力、気力の衰えなどがプレフレイルのサインかもしれません。
フレイルは、予防や対策をすればもとの機能に戻る可能性がある状態です。その前段階であるプレフレイルを早期に発見し、早期から対策を始めることが重要です。
「まだ自分には関係ない」と思わず、定期的な運動習慣の確立や、人との交流の機会など社会との関わりを積極的にもち、活動的なライフスタイルを身につけましょう。