年齢を重ねるにつれて、「これからの時間をどう過ごそうか」「会社を辞めて人と関わる機会が減った」、となんとなくもの足りなさを感じていませんか。
そんなときは、新たなコミュニティへの参加、そして気の合う人たちとの関わり合いが日々の充実感や心の支えへとつながることがあります。
今回は、ご自身やご家族にとって無理なく参加できるコミュニティの見つけ方、自然に溶け込むためのヒントについてご紹介します。
高齢者がコミュニティに所属するメリットは?
年齢を重ねても、地域や仲間とつながることで得られる充実感は大きなものです。
さらに、高齢者のひとり暮らしや核家族が増える現代社会では、コミュニティの存在が多くの場面で支えになるかもしれません。
ここでは、コミュニティに参加することで期待できる具体的なメリットをお伝えします。
生きがいや張り合いが生まれる
「生きがい」とは充実感や達成感、安らぎ感といった感情と言われています。これらの感情は、仕事や家庭はもちろん、趣味や社会・学習活動、友人などから生まれます1。
実際に、社会活動に参加する高齢者の84.6%が「自分の生きがいを十分感じている」または「多少感じている」と回答し、活動に参加しないグループに比べて23ポイント高く、生きがいを感じている傾向がみられています2。
コミュニティに参加しさまざまな関わり合いをもつことや、役割を担うことが、心の張りや生活への満足感につながり、いきいきと過ごしやすくなります。
心身ともに健康を維持しやすくなる
コミュニティに参加すると人と話す機会も増え、日常にほどよい刺激が生まれます。さらに、決まった曜日や時間帯の集まりがあることで、規則正しい生活リズムを作ることができます。
そして、集まりに出かけること自体が自然な運動習慣にもつながります。高齢者が歩行など中強度の身体活動(1日に約40分もしくは約6,000歩)を行うと、総死亡や心血管疾患死亡のリスクが約30%低下するといわれています3。
また、身体活動の少ない人ほど、少しの身体活動で大きな健康増進効果が期待できる3ともいわれています。
このように無理なく身体を動かしながら人と関わることで、心身ともに健康を維持しやすくなります。
高齢者コミュニティの種類
ここでは、高齢者コミュニティの種類を紹介します。
大きく分けると「趣味」と「地域」のジャンルがあります。それぞれの特徴を知ることで、ご自身に合ったスタイルを探しやすくなりますよ。
趣味のコミュニティ
旅行やスポーツ、音楽など共通の関心を持つ人が集まるコミュニティです。好きなことを共有できるため、楽しみながら参加でき、自然と続けやすいことが魅力の1つです。
SNSなどのオンラインを利用すれば、さまざまな年代・遠方の人との交流へと広がります。
一方で、活動内容によっては、活動費が金銭的な負担となってしまうこともあります。
年齢を重ねても趣味を始めることはできるので、趣味を見つけ新しいコミュニティへの参加を検討してみましょう。
地域のコミュニティ
自治会や町内会、地域サロンや健康教室など、地域の活性化を目的に、近隣の住民が集まるコミュニティです。
近隣の人と顔の見える関係を築けるため、いざという時に助け合える安心感にもつながることが大きな魅力です。身近な場所で気軽に交流できる環境は、日常に安心と活力をもたらしてくれるでしょう。
また、費用がほとんどかからないこともメリットと言えます。
その反面、参加者が少ない地域では運営の担い手不足により、負担が大きく感じられる場合もあるので参加者の役割を確認しておきましょう。
地域に根ざしたコミュニティにはボランティア活動もあるのでお住いの自治体の活動をチェックしてみましょう。
高齢者コミュニティの探し方
ここでは、コミュニティの探し方を紹介します。普段から使い慣れているツールを活用することで無理なく見つけられます。
自治体の高齢者向けサイトや広報誌で探す
まずは、地域のホームページや広報誌をチェックしてみましょう。
たとえば「〇〇市 市民講座/サークル」と検索すると自治体主催の講座情報や趣味のサークルが見つけやすくなります。また、定期発行される広報誌にもコミュニティに関する情報が掲載されています。
ペーパーレス化の影響でご自宅に広報誌が届かない場合でも市役所や公民館、図書館などに置かれていることが多いです。お出かけの際に立ち寄ってみるのもおすすめです。
地域のコミュニティセンターや公民館で探す
地域コミュニティセンターや公民館に直接足を運び、情報を得るのもひとつです。現地で職員の方に話を聞くことで、サイトや広報誌には載っていないリアルの情報を得られることもあります。
これらの施設は、地域の「通いの場」として、定期的なイベントや健康教室、趣味のサークルなどを開催をしていることもあります。参加費もお手頃なので、初めての方でも気軽に参加しやすいコミュニティを見つけやすいでしょう。
インターネットで探す
気になる分野や趣味をもとに、インターネットで探す方法もあります。
「〇〇コミュニティ」などのキーワードで検索すると多様なサイトが出てきます。地域を限定せず全国の人とつながれるものやオンライン上でのやり取りが中心のコミュニティもあります。
外出が難しい方でも、自宅で気軽に参加できるコミュニティを見つけることができます。
高齢者コミュニティを探すときの注意点
ここからは、コミュニティ選びで失敗しないためのチェックポイントをご紹介します。
せっかく見つけた集まりが「思っていた雰囲気と違った」と感じることのないように、入会前にしっかり確認しておきましょう。
コミュニティの運営元を確認する
コミュニティの運営元を確認しましょう。
とくにインターネットで探したコミュ二ティの場合、運営元が信頼できるか確認しましょう。
参加前には、代表者に連絡を取り、可能であれば入会前に見学すると安心です。
万一、しつこい勧誘や個人情報の要求がある場合は、無理に参加せず、ご家族や地域の民生委員などに相談することをおすすめします。
必要な費用を確認する
参加を検討しているコミュニティによっては、思いのほか費用がかかることもあります。
活動内容や頻度によって負担額は異なるため、ご自身の生活費全体をふまえたうえで、無理のない範囲で継続できるコミュニティを選びましょう。
メンバーの年齢層と男女比を確認する
心地よく過ごすためにも、事前に年齢層や男女比を確認しておくとよいでしょう。
たとえば、年齢差が大きすぎると会話がかみ合いにくくなることもあります。また、男女比が偏っている場合は、馴染みにくさを感じてしまうこともあるかもしれません。
ご自身の性格や希望に合ったコミュニティを選ぶことが長く続けるコツです。
高齢者コミュニティに上手に溶け込む方法
ここでは、初めて参加する方でもスムーズにコミュニティに馴染めるためのヒントをお伝えします。
ちょっとした心がけがより良い人間関係を深める糸口になりますよ。
笑顔で挨拶をする
参加する際は笑顔で挨拶を心がけましょう。
素敵な笑顔は相手の心をほぐし、自然なコミュニケーションのきっかけになります。
自分からメンバーに話しかける
最初は緊張するかもしれませんが、ご自身から話しかける勇気も大切です。
まずは、簡単な自己紹介をして、お互いの名前を知ることから始めましょう。話題に迷った場合は、コミュ二ティの活動内容や持ち物などから会話を広げてみるのも1つの方法です。
例えば、カメラのコミュニティなどであれば「そのカメラ、素敵ですね。何を撮るのがお好きなんですか。」など、「はい・いいえ」で終わらない話題にすると会話が弾みやすくなりますよ。
話題の共通点を探す
会話の中から共通点を探してみましょう。
趣味のコミュニティであれば、すでに共通の話題があるので、そこから話を深めやすいです。
地域のコミュニティの場合は、地域に関する話題など取り入れると会話がはずむでしょう。
プライベートに立ち入りすぎない
仕事や家庭状況など人にはそれぞれ事情があります。
相手のプライベートを尊重すると同時に、ご自身もどこまで話すかを考えた上で関わることが大切です。
お互いが心地よい距離感で付き合えるように、思いやりを持って接しましょう。
まとめ
高齢者がコミュニティに参加することは、生きがいや心身の健康維持・増進など多くのメリットがあります。
まずは、普段使い慣れているツールを活用し、コミュニティを探しましょう。参加するときは、笑顔と明るい挨拶でメンバーに話しかけ、溶け込んでいきましょう。
最初は、慣れるまで緊張することもありますが、続けていくうちに、居場所になっていくことでしょう。
コミュニティ活動は、自分のペースで楽しめるのもポイントです。まずは身近なところから、参加してみてくださいね。



